(2020/3/07日更新)
コードバン・・
この希少性の高い革を手にしたら考えなければイケないのが手入れである。
他の革製品に較べて丈夫で手入れは少なめで良いといわれるコードバンだが、その希少性から革界のダイヤモンドと呼ばれるモノである。
使い込む程に艶かしい光を放ち(飴色)持つ者を魅了するのだが、さすがに未手入れでは宝の持ち腐れにもなってしまう。
せっかくのコードバンだって知らない間に使い物にならないようなダメージを負う事だって有るのだ。
もしも手にしたのなら末永く愛着を持って最低限の知識は頭に入れておこう。
目次
そもそもコードバンとは?簡単に説明しとく
さて、レザー界のダイヤモンドにも例えられるが、結局コードバンとは馬の尻の革である。
ちなみに馬の中でも農耕用の馬と限られているようだ。
さて、その農耕用の馬の尻の革が、なぜ最高級鉱物のダイヤモンドに例えられるかって言うと、その希少性にある。
ちょっと考えて欲しいのだが、現代において農耕用の馬なんて世界中で中々見かける事なんてないだろう。
そんな中々見かけない馬の臀部なんてのは相当な希少性だ。
したがって、コードバンが使用されるのはおそらく、大きくて靴までだと思う(そもそも臀部の革が小さいし)
後は主にサイフや小物が主に商品化されやすいだろう。
で、他の(牛や豚)革と比べるともちろん剛性(硬さ)もトップレベルに高い。
確かに馬の臀部は競馬を見ていると分かる通り、あれだけムチでバシバシ叩かれて痛みをともなっているようには見えない。
きっと本当の痛覚に響いてしまうような皮の軟さでは競馬のムチ入れなんてしてたらレースも成立しないハズである。(痛くて走ってるならそれはそれで問題だ)
つまり、ムチで叩かれるくらいではどうって事はないくらいの丈夫な馬の臀部の革を人間様がありがたく使わせて頂いてるって事である。
でも、革が裂けたりする事だってあるのだよ
実は、そんな丈夫なコードバン、残念ながら裂け(割れ)てしまう事だってある。
他の革に比べると丈夫なようだが、硬いという事は伸びづらく馴染みにくいという面もある訳である。
(ちなみにその硬さは牛革の2倍~3倍なんて意見もあるが、どういう比較方法かは分からない)
剛性については皮革製品にも多少の個体差はあるが素人目で購入時に分かる代物ではないだろう。
あの名門革靴ブランド・オールデン(価格は10万超えも当たり前)のコードバン使用の靴だって裂けてしまう症状があるのだから、おそらく熟練の職人でさえも見るだけでは、分からないのではないか?と思う。
余談だが、靴は構造上負荷が強い場所はどうしても存在する。
例えばローファーのサドルの部分などは、面より点で負荷がかかりやすいモノだ。
そんな構造上負荷が強くかかる部分は履く口からサドルにかけて裂けの現象が起こりうる。
つまり、コードバンの品質の良し悪しを素人が購入前に判断することは難しい。
おそらくオールデンの職人だってそんな事が想像できれば、弱い革の部分は避けてしようすると思うので、私のような一般人の購入者が見て分かるようなものではないハズである。
したがって購入者に出来るのは手入れ+大切に使うという事に尽きるのである。
しかし手入れ+大切に使うという事をしてエイジングを楽しむ事が購入した者の特権って訳である。
手入れの前に、どんな仕上げのコードバンか知っておこう
エイジングこそが革製品の醍醐味である。
特に、コードバンは新品のモノはマッド調な仕上がりのアイテムが多いと思うので育てがいが有るモノばかりだ。
丁寧に手入れしながら、使い込んでいくと言葉で言い表すのも難しいような艶めかしい光沢が出てくるのだ(まぁ飴色かな・・)。
この艶めかしさは他のレザーとは違うコードバンの高級感を秘めたモノ。
個人的には思うのは他の革製品より金属的なキメの細かい輝きというか・・
ただし、エイジングさせたいコードバンのアイテムがどんな方法で処理されているか知っておこう。
コードバンで作られるのレザーの仕上げ方法には染料仕上げ(水染め)、蝋引き、オイルドなど色々と存在するのだが、中には購入時にちょっと敬遠?したい製法もある。
それは顔料仕上げ&オイルドコードバン。
顔料仕上げについては、表面が顔料によってコーティングされてしまっていてエイジングというよりは劣化していくものと考えた方が良い。
顔料仕上げした商品も多々存在する。
個人的な意見で恐縮だが、使い初めの強度や耐久度は良いし手入れは楽かもしれないが成長(エイジング)していかない革製品には醍醐味が感じられない。
あと、オイルドコードバンについても、そもそも天然オイルが革の繊維に浸透させてあるため、手入れによって他のオイルを浸透させてしまうと光沢に変なムラが発生してしまう。
こちらの場合は手入れが難しいと表現すべきか?
と、いう訳でコードバンの品質については各自で確認しておこう。
特に海外の製品は表記的に分かりづらいものあるので注意しよう。
という訳で以後の説明は、主にヌメ革と染料仕上げのモノについての方法である。
使い始め(目安で一年間)
最初は乾燥した柔らかい布で拭いているのが一番。
この方法で様子をみて革自体が乾いて来た時からクリームを塗りだすのが最もクリームも馴染みコードバン特有の光沢が得られるはず。
この理由は購入直後は、使い出し特有の革の硬さと、表面にロウ加工されている為だ。
クリームを塗ってみても染みにくいし、下手にクリームを塗り込むと表面にくもりが出てしまう原因となる。
なので、購入してから目安として1年間程度は乾拭きがベストなのである。
ただし、この時の乾拭きには注意しなければならない事もある。
コードバンは傷が着きやすいレザーなので、必ず柔らかい布を使用したい。
レザー磨き専用の布の方が良いが、磨くものの大きさによってはメガネ拭きでも代用は効く。
このポッシングクロスの利点としては両面起毛タイプで裏表両方使用できコストパフォーマンスに優れている。
軽い汚れもすぐに落としやく携帯性も良い。
まぁ500円もしない商品なので一枚もっておいて損はないと思うのでオススメである。
一年ほど経ってからの手入れ・・先ずは汚れ落とし
まず、普段使いの汚れ落としに欠かせないのはブラッシング。
ブラシにも色々な動物の毛が用いられている。
一般的に言われる毛の硬さは豚毛、化繊毛、馬毛、山羊毛。
コードバンの場合は馬毛が丁度良い。
ちなみに馬毛は殆どの革製品で使える便利アイテムだ。
ここでは私感ながら最も使いやすいと思ったドイツ製のREDECKERのモノを紹介しておこう。
AMAZONなら価格も小学生のお小遣い程度で買えるのでオススメである
私は持っていないがスウェーデン性のIris Hantverkというブランドの評判の良いモノもあるので一応そちらはコチラ。
馬毛シューズブラシLovisa
とにかく、ブラシはあらゆる革製品において頻繁に使うモノ。
必ず用意しておこう。
リムーバー。使う際の注意。
次に必用なのはリムーバー。
これは汚れ落としの意味もあるが、クリームを塗る前に古くなったワックスなどの油分を落とすのにも必用。
余計な油分をとる事で通気性も上がり、後のクリームの塗り込みの際に生きてくる作業なのだ。
しかし、頻繁に行いすぎると本来の色より濃くなっていきやすいとも言われている。
現在、私の場合は3回に一回くらいの割合でリムーバーをかけるようにしている。
M.MOWBRAY は定番のシューケアメーカーの一つ。
60ml・300ml・500mlと容量を選べるが、財布等の小物関係での使用なら60mlで十分だと思う。
製品の品質としてはミネラル分の少ない軟水。
革製品の手入れには軟水のモノが良く出来るだけ余計なモノがは混ざっていない事モノの方が良い。
このあたりは人間の化粧落としと考え方は一緒だ。
で、使う際に注意したいのは少量を乾いた布に取り、優しくを拭く事。
コードバンは水に弱い性質があり、リムーバーが革の内部まで浸透してしまうとムラなどの原因に成るので注意する事。
使用量の目安としては、一回あたりの使用で1~2滴をたらす程度。
気になるような頑固な汚れの場合は少量づつ様子を見るようにしておこう。
優しく拭き上げれば、布に古いクリームが布地に着いてくるはずだ。
革を育てるレザークリームを選ぼう
特にコードバンにこだわらず、クリームは革製品の品質保持には欠かせないアイテム。
人間だって油分が少なくなれば、肌はカサカサになって、深いシワが入ってしまう。
特に保湿の効きにくい踵(カカト)は、ヒビ割れを起こすなんて事だってある。
そんなヒビ割れが革製品で起こってしまっては、そのアイテムは寿命はほぼ終わり。
当たり前の事であるが、革製品は人間と違い、内側から、水分や油分が供給されるなんて事は無い。
すなわち、外部からクリームで油分や栄養を供給するしかないのだ。
オススメのクリームはコレ
さて私は無色のクリームで手入れをしている。
あくまで個人的な感想だが色付きクリームは過去に使用していたがアイテムの色の濃さに変化が出てしまった為である。
私はナチュラルなエイジング希望だが、傷がついた場合は有色のモノを使って目立ちにくくにするなど使い分けをしている。
で、オススメはコロニルのモノが良いと思う。
ブランドコンセプトも “皮革に優しい・人体に優しい・環境に優しい” との事で使っていて安心感もある。
ちなみに木製家具にも使えるくらい人体には影響はないらしい。
品質にも優れていてベトつくような粘りがなく伸びも良いので、靴だけでなく小物も(他のレザー製品も)含めて、とにかく使用しやすいのでオススメ。
使い方はブラシに少量とってアイテムにまんべんなく塗る。
そのまま乾くまでブラッシングし、乾いた布で仕上げ吹きするという流れ。
一応、ブラシを使用しなくても革製品に塗る事は可能だが、細部などに塗る際は断然有ったほうが便利なモノだ。
ただし、色移りする事が有るので使いたい色、各色持っておくほうが良い。
紹介したブラシはコスパの良い商品なのでケチらず用意した方が無難だと思う。
また使っていくと毛が硬くなるが、私は中性洗剤で洗ってしまっている。
そうすると毛の柔らかさは復活するのでブラシの毛が減ったりしない限りは使えるのでちょこちょこ洗って使うようにしよう。
靴にはワックス。
仕上げにお好みでワックスを使用する。
ただし、ワックスを塗りすぎると染みの原因にも成る。
また、撥水性を得ると同時に通気性が失われるので、特に靴の場合は注意が必用だ。
私は、靴にはワックスは稀に塗る程度だが、小物には毎回欠かさず塗っている。
サイフ等の小物は水濡れや汗の心配も有るので撥水性は大切なのだ。
なにせコードバンは水には弱いから・・・
で、↓はコードバン専用のワックスだ。
品切れの場合も多い商品で人気のケアグッズ。
まとめ
手持ちのコードバン製品がサイフなどの小物のみの場合は[銀座大賀靴工房] M.MOWBRAY シューケア スターターセット (ニュートラルセットを購入してしまうのも便利かもしれない。(ワックスは付属無しだが)
長期の使用を考えると容量的にはちょっとすくないかな?って感じだが革製品ケアに持っていて損なしのアイテムがとりあえず揃っている。
コードバンのアイテムは長期で使用していく事になるので、手入れの道具にも自然とコダワリが出てくるものである。
特に男はナンチャッテ職人になってしまう瞬間があるものだ。
コダワリだすとキリがないのが革製品の困った所でもあるが、一方でそんな風に困らせてくれる所が革製品特有の楽しみや魅力のでもあるのだろう。
ではではエイジングを心ゆくまで楽しもう。
他のレザーメンテナンス系はコチラの記事をドウゾ
あと、一応レザーに関係するシューキーパーについてはコチラ↓