ヌメってなんだ!?と思ったのが初めてヌメ革というワードを知った時の感想。
グーグル先生で語源を調べるとヌメリ(滑り)から来ているそうな・・・
さて、そんなヌメ革の一番の特徴といえばやはりエイジングだ。
よく飴色なんて表現される艶めかしい色合いは育てあげて出来るモノ。
これはヌメ革アイテム所有者のみの楽しめる特権だ。
さらに育て上げたヌメ革は元々の状態よりも多少の傷なら目立たなくなるという利点もあり長年に渡り利用しやすくなるというメリットもある。
もちろん育てるってワードから分かるように、いわゆる格好いい飴色エイジングをさせるにはそれなりの期間を要する。
で、大切な事といえば、やはり手入れと、水濡れやひっかき傷を負った時のケアが大事。
これらさえ怠る事をしなければ、間違いなくヌメ革は飴色の光沢を帯びる。
しかし、最初に言ってしまうのどうだか?と思うが、手入れの方法は人それぞれだ。
ノーメンテでもいい感じに仕上がる人だっているかもしれない(そうとうな運の持ち主だと思うが・・・)
つまり正解は無いともいえるのだが、色々な方法を知っておいて絶対に損はない。
この記事では私の手入れ方法をまとめておく。
水濡れや傷等のトラブルのメンテも書き記しておくので、ピンチの時には役に立つ筈だ!
では、まずは簡単にヌメ革がどういう革であるかを説明しておこう!
目次
ヌメ革をまずは何かを理解しよう
いまさら手にしたヌメ革がどんなものか!?なんて事は余計なお世話かもしれないが、簡潔に言ってしまえば
「最も皮膚に近い革(レザー)!!」
と言っていいだろう。
革が出来上がるまでの行程とは、まず生体(動物)から剥がした皮を色々なモノに使えるように革へと変貌させる必要がある。
で、その過程の中に鞣し(なめし)の作業が存在するのだ。
この鞣しの行程の一番の目的は皮の腐敗を止めるため。
その行程を簡単に説明すると
①皮を塩漬け(腐敗を止める)
↓
②塩分その他体毛・表皮・脂肪・肉片などの除去
↓
③クロームなど金属化合物OR植物の渋(タンニン)を用いた鞣し液に浸す
この最後の③の行程をいわゆる鞣しの行程だ。
でこの③の行程で皮はまさに革へと変貌し、さらに革の表情は色々なものに変化するのである。
そしてヌメ革とは、植物の渋を用いて鞣した革の事である。
ちなみにクロームなどを用いるモノで身近なモノでいえばスエードか?
スエードについてはコチラの記事に詳しく書いてある↓
ヌメ革の特徴
先程も書いたが最も皮膚に近い革(レザー)たる所以はやはり表情にある。
血管の後はもちろん、生前のシワや傷、さらに毛穴やカサブタの後などと細かいモノまでが残っている。
で、さらにおもしろいのは人間の皮膚と同様で経年による変化があるという事。
日焼けや熱による変化はもちろんの事、革が元から持っていた脂が染み出すことによる色味や風合いの変化も起こる。
ちなみに、硬さは他の革製品に比べると硬めのモノが多いのも特徴で、使うほどに形は馴染みやすいともいえる。
これらの経年変化がヌメ革のエイジングとして最もおもしろい所である。
もっと言ってしまえば、形や色のスタートは同じだとしても持ち主の手入れ次第で持ち主オリジナルなアイテムへと変化するのである。
ヌメ革の手入れって??
華麗なるエイジングを目指すには良いアイテムと、こまめなケア、そして愛情でヌメ革の表情は変わる。
個人的には、レザーについては過保護過ぎても構わないのでどんどん手入れしていくべきである。
ちなみに私はナチュラル(無染色)なヌメ革に限り行っている事がある。
すこしそれについて説明しておく。
無染色のモノなら最初に日光浴はオススメ!!
革に日光浴?とも思うかもしれないが、しておく方が無難だ。
まず、買いたて(未使用)のヌメ革というのは繊維に隙間が多くスポンジのような状態と思ってほしい。
この状態だと、水や油が非常に染み込みやすくシミになりやすいという事である。
日光浴を最初にしておくと買いたての状態よりも表情にムラは少なめになる些細な傷がつきにくいというメリットがある。
ただ、小傷やムラさえもレザー製品の味といえば味。
そこらへんは個人の自由だが、私は長年愛用して行くつもりならしておいた方がベストという考えである。
日光浴の利点
最初にオイルを塗り、さらに日光浴により脂分を表面にコーティングさせる事で、手の汚れ、摩擦による傷、水などから守りやすくなる。
目安として、季節によって変わってくるが冬場で一ヶ月、夏場で半月くらいといったところ。
ただし、直射日光は強すぎるので必ず日陰で行うように。
早くアイテムの色を濃くしたいかもしれないが革の急激な乾燥はひび割れなどの原因となるので止めておこう。
あと、まんべんなく等しく日光浴できるように、全体を均一に行うように。
これと言って失敗するような要素は無いが、日光浴は人と同じく長時間行えば色は濃くなる。
古着屋・リサイクルショップなどで売られているエイジング済(中古品)で日光浴をしていないモノをみていると、おそらく使用初期に付いたであろう水濡れによるシミが目立つモノが多い。
そのようなアイテムを見るとやはり序盤に日光浴をしておいた方が色合いが濃くなり、時が経っても汚れても目立ちにくくなる。
これは、松崎しげるの顔面にシミが目立たないのと同じ原理である。
もちろん個人の自由だが色合いが濃い目にしておく方がやはりトラブルは少ないだろう。
オイルについて
普段の手入れのオススメは[コロニル] シュプリーム クリーム が万能(カラーレス)で何にでも使えるのでオススメである。
ただし最初に日光浴をする時にオススメの物が有る。
それはニートフットオイルというオイルだ。
こちらのオイルは浸透力が強く普段から使うと革からハリが無くなってしまうくらいなのだが、日光浴時の乾燥対策+日焼け促進には非常に良いアイテムだ。
浸透したニートフットオイルと共に鞣しの際に浸透しているタンニンも化学変化がおこりより早く色味を濃くしてくれる。
ちなみに塗る際に私が使用しているのはダイソーの刷毛や着古して要らなくなったTシャツなどである。
伸びも良く少量で全体に塗れるので正直473mlはかなり使い出のある量だ。
複数のアイテムに使うなら良いかもしれないが、とりあえず一つだけのアイテムにつかうのなら少量のコチラでいいと思う。
普段の手入れは
日光浴が済んだら後は定期的なケア&メンテナンス。
こちらについては、一ヶ月1〜2回で良いと思う。
とりあえず必要なものは
- クリーム
- クロス
- 馬毛ブラシ
クリームについては色々販売されているが、私はカラーを選ばないコロニル・シュプリーム クリーム がやっぱり便利。
手持ちの柔らかい布などもっていればそれでいいし、メガネ拭きでも代用可能だ。
私は普段のメンテナンスに使用しているクリームに付属してきたポリッシュクロスを使用している。
汚れを落とす馬毛ブラシはアイテムの大きさによるのだが、財布など小物用のモノが細かい細工部分にはやはり便利。
価格もやすいので一つ持っておくのをオススメする。
とりあえずコレらを揃えておけば普段の手入れに困る事はないだろう。
また、他の革製品にも使えるものばかりなので持ってなければ持っておいて損はないだろう。
防水スプレーはあると便利
私は使いだして序盤の日光浴からクリーム塗布の後に防水スプレーを使用している。
理由はやはり序盤の水シミを避けるため。
ただし防水スプレーは通気性も損なうし、使用後のしばらくはオイルの染み込みも悪くなる。
コレは防水性能を発揮した結果なので当然だがオイルメンテナンスが出来なくなってしまう。
オイルが染み込めば染み込むほど水にも強くなるので必要ない行為だが序盤のみは使用を考えてもいいと思う。
私はスエード靴等にも使っているアメダス防水スプレーを使いまわしている。
とりあえず出番は多いので持っておいて損は無い一品。
あと、財布などは内部に吹きかけるとコインの汚れが付着しにくくなるという利点もある。
目立たない所なので今ひとつ効果は分かりづらいが気になる人は検討してみよう。
ダメージをおってしまったら
気をつけていてもトラブルは避けられないモノである。
どれだけ天気を気にしていても不意の雨だって降るし、コップの水だってこぼす。
知らないうちに引っ掻き傷が着くことだって絶対に避けられる訳じゃない。
そんな時に出来ることといえばとにかく適切なケア!
水濡れの染みには・・・
正直、水濡れは完璧に元通りを目指すよりも
「コレくらいな気にならないか・・・?」
くらいの気持ちの余裕が欲しい所。
でもこの方法でかなりシミが気にならなく成る場合もあるので、とりあえず試して欲しい。
- 出来たしまったシミの周りを、濡らして強く絞ったウエス(布なら何でも良い)で、ポンポンと軽く叩きながら濡らす
- シミの境界がボヤッとしてきたら自然に乾くのを待つ。(この時点でだいぶ目立たなくなる筈だ)
- 乾ききった後は革の栄養も抜けてしまっているので、普段使いのクリームでメンテナンス(私の場合コロニル・シュプリーム クリームを使用)
- 全体的に塗り直して完成
軽いシミはほとんどコレで解決する。
思ったよりも古いシミでもこの方法で対応できるハズである。
駄目だった場合、頑固なシミにはソフトガミ
上の方法はあくまで純粋な水の場合には有効かもしれない。
が、汗染みなどの場合は頑固に付着してなかなか落ちてくれない場合もある。
こうなると内部まで汚れが浸透してしまっている可能性が高い。
一発逆転で水に漬け込んで汚れを水中に溶かし出すという方法もあるが、型崩れなどの結構なリスクである。
で、そんなリスクを追うよりもまずは試してほしいのがソフトガミ というアイテム。
一言で説明すると消しゴムみたいなものだが、こちらは汚れを拭き取るというより、染みの境界をボヤかすのが目的だ。
シミ付近を擦って境界が分かりづらくなったらクリームを塗って乾かして周りとのバランスを見ていくといった感じだ。
大きなシミの場合は結構な労力が必要だし、あくまでシミの境界をボヤかすといったケアなのだが細かいシミの場合はかなり有効なので試してもらいたい。
傷
傷の対処はシミよりも直接的なダメージなので、大変そうなイメージだ。
が、普段の手入れを小まめにしていると、小傷ならば手で擦るだけでケア出来てしまう。
もし、それでも対処出来ない場合は先程のソフトガミや消しゴムでもとりあえず擦ってみるのがいいだろう。
もちろん使用後はクリームでのケアを忘れずにしておこう。
もし、それでも駄目な場合は日焼けの時に使ったニートフットオイルやミンクオイルなどの浸透性の強いオイルを少しずつ浸透させていくと、完璧とはいかないが目立たなくなっていく可能性も有る。
ただ、その部分だけにオイルが浸透すると色ムラにもなりやすいので、行うならば全体とのバランスを見ながら行うようにしよう。
かなりの傷や汚れや革の剥がれには・・
先程に挙げた方法ではどうにもならない時にはいよいよカラークリームを使っての補修となる。
技術的な部分もあるので出来れば避けたい事だが、難易度的には素人でも可能な方法だ。
この補修クリームは全47色有るので手持ちのアイテムにあったカラーを選び(もしくは混ぜて調色して)塗っていく訳だが、この補修クリームを塗る前にも汚れを落とし、ソフトガミで擦っておくとクリームのノリも良いので憶えておこう。
コツというほどでもないが、傷や剥がれの酷いところには綿棒などで多めに塗って、それ以外の所にも布なので薄く全体的に塗っておいてやるほうが、補修箇所の違和感は目立ちにくい。
まとめ
書いているとあれもこれもと色々と手入れの事を書いてしまったがどれも革のメンテナンスにおいてはムダ知識にはならないだろう。
大切な事はエイジングとは経年劣化では無く、経年変化である。
これは、ヌメ革に限った事ではないかもしれないが、普段からどんどんアイテムは使用して日々に僅かずつ起こる変化をチェックしていくべきである。
このチェックするという行為が何よりも大切な手入れだと思う。