ファッションの優れたアイテムの一つにバスクシャツがある。
着心地の良さは抜群で締め付け感はゼロに近く、オマケにちょっとスタイルに自信のない場合は体のシルエットを優しく隠してくれる魔法のアイテムだ。
さらに首元はすっきりとしたボートネックで開放感もあって、ネックレス等のアクセサリーも栄える。
購入したてこそ太めの糸で編まれたコットンジャージーの繊維がザラッとし硬く違和感もあるが馴染みだした時は最高の着心地だ。(5回くらい洗うと良くなってくるかな??)
言い方は悪いが、少し繊維のくたびれた時がバスクシャツの一番の旬とも言えるかもしれない。
ボロボロになってしまってはいけないが経年変化(エイジング)も楽しめるくらいタフに着られるコットン製品は珍しい。
少し遅れて旬がやってくる着心地のせいか、バスクシャツの古着での流通量は多いそうだ。
あとボーダーのイメージが強いが無地のバスクシャツもある。
ボーダーにせよ無地にしろバスクシャツはアウターにも合わせやすくて便利で良い。
特にアウターとの着こなしの良さを有名にしたのはアンディウォーホル。
ウォーホルの、バスクシャツにレザージャケットの着こなしを真似てセレブたちもバスクシャツを愛用したなんて話もあるくらいだ。
さて、まずはバスクシャツの歴史を簡単に紐解いてみる。
目次
ワードローブに欠かせないバスクシャツとは?
発祥の地は、一部はスペインで一部はフランスのバスク地方。
ちなみにバスク地方のもう一つのファッションアイテムにベレー帽がある。
ベレー帽はバスク地方の高地に住む農民の民族帽子の流れを組んだもの。
そしてバスクシャツは海岸に住んだ猟師や航海士達が好んで着た作業着だ。
余談になってしまうが画家ピカソはバスクシャツとベレー帽も愛用していた。それは彼の父がバスク地方出身で親近感があったのだろう。
そんなピカソの愛したバスクシャツ、ファッションとしての利便性はもちろんだが機能性も漁師のワークウェアだったくらいだから抜群に良い。
開放感を好むピカソが愛したのも納得の着心地の良さだ。
あと注意点としてバスクシャツを購入する場合は、洗うとサイズが縦方向に縮みやすい(特に袖)が5回も洗濯すればそれ以降の縮みは、ほぼ無いと言っていいだろう。
さて、ではバスクシャツの名品定番ブランドを4つ紹介していこう。
Saint James(セントジェームス)
フランス北部ノルマンディー地方にあるSAINTJAMES市が発祥のブランド。
あのモンサンミッシェルの近くだ。
ちなみにモンサンミッシェルに行くと土産物のような扱いで売られていて少しだけ萎えてしまう。
さて、そんなセントジェームス、誰もが【バスクシャツ】といえば真っ先に思いつくブランドかもしれない。
そんな定番ブランドの中の定番であるモデルを紹介しておこう。
Ouessant(ウェッソン)はカラーバリエーションも豊富であの特有の厚手のコットンで作られている。
最近はGUILDO(ギルド)というモデルが売られているがハッキリ言ってしまえば、見た目も品質も区別がつかない。
強いて言えばタグだけ。
日本の代理店経由のモデル(OUESSANT)と、本国フランスの輸入品(GUILDO)という事だと思うのだが・・。
そこまで気にすることはないだろうがコチラはAMAZONで売られているGUILDO(ギルド)だ。
タグが違うくらいなので、気になあらない人はギルドのほうが3000円ほどは安く買えるのでお得感がある。
あと、予備知識的に知っておくと良いのが、セントジェームスなど定番デザインを製造する会社は、服に付ける紙タグのデザインの変更が何年に一度かある。
これは偽造防止の為らしい。
過去のデザインを覚えていて、最新の紙タグを見て偽物か!?と思ってしまいそうだが落ち着いて調べれば大丈夫。
ORCIVAL(オーシバル)
フランス海軍のユニフォームに採用された事もあるオーシバル。
コチラもバスクシャツの有名ブランド。
このミツバチワッペンの服と言えば分かる人も多いだろう。
レディースのコートも最近は人気なようで確かに可愛らしいアイテムが多い。
さてオーシバルのバスクシャツの代表的なモデルはRACHEL6101だろう。
どちらが先に製造されだしたのかは分からないがデザイン的にセントジェームスのNaval(ナヴァル)に似ている。
どちらがいいか??となるとそれはブランドの好みだろう。
あとオーシバルの服の特徴としてバスクシャツ全体を見渡すと縦方向に縮みやすいが、オーシバルは横方向に縮みやすいと言われている(あくまで噂だが)。
つまり身幅が細くなりやすいという事だが、そこまで気にする程ではなくシルエットがおかしくなるよな程ではない。
Le minor(ルミノア)
ルミノア(Le Minor)はバスク地方でなくフランスのブルターニュ地方が発祥。ブルターニュ地方はイギリスから渡ってきたケルト人独特の文化を持つと言われている。
バスク地方で作られるからバスクシャツじゃないのか?と思ってしまうがそんな定義があるわけも無く、なんなら地元のフランスではルミノアの方が人気のブランドかもしれない。
さて服の特徴は作りがしっかりしていて、それ故に縮みが大きいといわれるが中にはすでに収縮させたモノもあるようだ。
あと個人的なイメージ的で申し訳ないが、日本だとナチュラル系の女性が着ている事が多いかな?
もちろん男性も着ているのだが、街中で見かける男性はセントジェームス率が高いと思う。(気付いてないだけかもしれないが)
という訳でちょっとめずらしいメンズの無地はコチラ
Fileuse d’Arvor(フィールズダルボー)
最後に私が最もオススメしたいのがFileuse d’Arvor(フィールズダルボー)だ。
フィールズダルボーは1927年創業の歴史を持ち現在でも自社工場で服を製造し続けるmade inフランスの素晴らしいブランドだ。
認知度は上記の3ブランドには劣るかもしれないが着心地は他のブランドと比べると最も柔らかく着始めから優しい肌触りで伸縮性も高い。
この肌触りや伸縮性の高さは、編み方の違いからくるものでカットソーならぬニットソーなどと呼ばれる。
細かい説明は省くが生地の厚みは他のバスクシャツ同様に厚めだがこの伸縮性のおかげで他のブランドのようなシャリ感もなく買ったそばから肌に触れた感じがとても良いのだ。
さらに、ダルボーの服の特徴として首や肩にかけてのラインが崩れにくい事がある。
この点は本当に他のブランドと比べた場合、頑丈の一言!
これはダルボー社の持つ独特の縫い合わせの技術でヨーロッパでは特許を取得していて他社にはマネの出来ない技術だ。
この技術を活かしてディオール・サンローラン・ヴィトンなどの受注を受けるほどの実力派アパレルメーカーとなっている。
さて形はバスクシャツとしては珍しく体にフィットしやすいと言える。
ただし紹介したように着心地の良いフィット感なので窮屈さ感じるような事はない。
着こなしとしてインナーをチラリと見えるようなのは向かないが、せっかく着心地なので素肌の上に着たほうがいいだろう。
こちらに紹介したのはBEAMSの別注品で色使いが可愛らしくて良いが、個人的にダルボーに関しては無地の方がシルエットの美しさがより出るような気もしている。
まとめ
バスクシャツ、形はどのブランドも正直に言ってしまうと似たようなもの。
この形が似通うのは、しょうがない事だが、詳しく見ていくと各ブランドの個性がチラチラと見え隠れして面白いと思う。
そして何と言ってもバスクシャツさえあればカジュアル面ではどんなパンツを履いてもOKとも言える便利アイテム。
老若男女がカジュアルに着られる服はそうは無いのでプレゼント等にも使えるので色々と知っておいて損はないだろう。
こちらの記事もカジュアルに使えるフレンチなカバーオールの特集。
バスクシャツで紹介したブランド以外のフレンチブランドが5つ(主にワークブランド)紹介されているのでオススメの記事↓