革製品の中でちょっとだけ異種な感じがするのがスエード。
理由は簡単、けば立っているから。
その独特のけば立ちのせいもあってかスエード製品は今ひとつ手入れに躊躇してしまう。
スエードは他の革製品のように良いエイジングを目指すというよりも、出来るだけ買った当初の様な状態が望ましいアイテム(靴やカバン)がほとんどである。
(個人的にレザージャケットなどはエイジングで渋さを増しているモノもあると思う。しかし、靴のスエードのエイジングは他の革製品のような艶めかしさも出てこないのでちょっと考えられない・・)
もし、お気に入りの靴やスエード製品があるのなら出来るだけ手入れして愛用してやる事が大切なのである。
なにせスエードには放っておけば、劣化とともにテカリ・色落ち・薄汚れと三重苦が待ち構えているだ。
この三重苦を避けるためにも、小まめな手入れと汚れ落としは欠かせない。
目次
まずは簡単にスエードとは?
まずはWikipediaに簡潔な説明があったので引用しておこう。
スエード(フランス語 suède)は、加工した皮革・合成皮革の一種。
クロムでなめした皮の内側を、回転砥やサンドペーパーなどで磨いて起毛(けば立てること)したもの。子牛や山羊革を主に使い、手袋、靴などに使われる。スエードは元は「スウェーデン」の意味で、「gants de Suède(スウェーデン手袋)」という言葉から、製法を意味するようになった。
Wikipediaより引用
なめしってのは、言ってみれば皮から革への作業。
スエードにおいてはクロムなめしが行われている。
豆知識みたいなモノだが、革製品においてクロムなめしの場合は良くある革製品のような光沢をおびるようなエイジングは見込めない。
もっと正直に言ってしまえばエイジングというよりは、経年劣化の名の元にボロくなっていくだけ。(もちろん手入れ次第で使用耐久年数は変わってくるし、元々の耐久性は高い。車やソファーなどの革製品にはクロムなめしが多いのは耐久性の高さからだろう)
スエードのケアで知っておきたい4つの事
では、早速手入れの工程と、汚れがついた場合の処理の方法を説明しよう。
説明する内容は
- 防水スプレー
- ブラッシング
- 汚れ落とし
- 油分・栄養補給について
この4つである。
日常的に行う事は
防水スプレーとブラッシングの2つだけ。
汚れ落ちしと、栄養補給は私気になった時に行うといった所。
頻繁にする事はないだろうが、長い間汚れを落とさずにいると色ムラの原因となるし、栄養補給を怠ればヒビ割れ等の原因ともなる。
早めのケアでスエードのダメージをリカバー出来るので知らない人には是非読んでいただきたい。
例として最も多いであろうスエード靴での場合を説明していく。
基本的にカバンの手入れ方法も頻度の差はあれど一緒で良いと思う。
ただカバンの場合はパーツによって普通のレザーとの混合されている場合もある(持ち手とかね。)
スエードの手入れ1 まずは防水スプレー
基本は防水スプレーとブラッシングである。
卸したての靴をすぐに履きたくなるかもしれないが、何よりもまずは防水スプレー。
いたって普通に全体にかければOKなのだが注意したい点が一つ。
それは、靴の甲の部分。
普通の革靴なら良い履き皺が生まれる場所だが、しなやかなスエードの場合この部分は皺になりやすく自然とスエード特有の起毛のせいで痛みやすい。
この部分はかけ忘れる事は少ないだろうがやはり注意したい箇所である。
スプレーする頻度は?
あと、スプレーの頻度は、どれくらい履いたか?どんな所を歩いたか?という点で変わってくるものだ。
ちなみに、通勤程度に使用する私はおろした時にしっかりスプレーをかけてやるのはもちろん、その後も使用3回に一度はかけるようにしている。
中には毎日のようにかけるなんて意見もあるけれど・・
あと、個人的な意見だが防水スプレーをかけてスグに靴を履く事はオススメしない。
理由はかけたての状態は逆にホコリ等が付着しやすい気がするからだ。
最低でも3分ほどはおいて履くように私はしている。
防水スプレーのかけ方
対象物より30センチほど離してかけてやる。
注意点は全体的に均一にかけてやらないと後々の色ムラの原因にもなるので注意しよう。
また、靴の場合はインソールにかかってしまうと汗などの水分の吸収を抑えてしまい蒸れやすくなってしまうので注意。
また靴底についてしまった場合はグリップ力も落ちてすべりやくなってしまう。
オススメの防水スプレー
防水スプレーについては、とりあえず無難に長年愛されるAMEDASをおすすめしたい。
最近ではスエード専用に色々なスプレーがあるが、補色成分の違いや用途別で色々と揃えていくとアイテムごとで買い揃えるハメになってしまいそうなので、オールマイティな一本でいくとコチラである。
あと、エナメル素材以外のほとんどのアイテムに使えるという点もいいし撥水性も強い。
こちらはAMEDAの撥水性の高さが分かる動画である。
安価な防水スプレーに手を出して酷い目にあった事もあるので長年愛されるAMEDASにしたのだが、コスパでみても防水性能の保ち具合から考えると十分なモノだった。
もちろん、他の製品でも良いが防水スプレーには意外とスエードへの使用を禁止されている物も多いのでそこらへんは気をつけよう。
ちなみにMモゥブレィの防水スプレーも評判は良いがコスパは容量を考えるとよろしくない。
ただし、購入価格は安いので使用頻度の少ない方にはいいかもしれない。
スエードの手入れ2 ブラッシング編
スエードのブラッシングは、スムースレザーに使われるブラシでは駄目。
これは起毛したスエードの隙間にあるホコリを掻き出し、さらには毛並みを整えて手入れするためである。
後でオススメのブラシを説明するが、間違ってもスムースレザーの普段ケアに使っているクリームのついてしまったブラシは使わぬようにしよう。
(残っていたクリームで着色などしてしまっては色落としで泣くハメになってしまう!うっかりした体験者は語る・・)
ブラッシングの仕方
さてブラッシングの仕方だが、何も難しい事はない。
まずは毛足(毛並みに)を確認し、それを逆立てるようにブラッシングしていく。
次に取りきれなかったであろうホコリをさらに除去するために色々な方向からブラシをあててやる。
だいたい、これだけでホコリなどの汚れは落ちるので、まずはザッとかけてしまおう。
で、最後に全体的に毛並みを整えて終了である。
(一分程度のブラッシングについての短い説明動画があったのでよかったら参考にドウゾ↓)
動画ではワイヤーブラシを使用しているがクレープブラシだろうが馬毛だろうが基本的にブラッシングの方法についてはみな一緒である。
補足としてこの動画では行われていないが、私はさらにアッパーと靴底の隙間やレザーの縫い目を歯ブラシで引掻き出すように丹念にかけてやっている。
この部分、実は汚れが溜まりやすいので注意したいところだ。
オススメのスエード対応のブラシは??
で、やたら種類の多いスエード対応のブラシだが、私のオススメのブラシは天然ゴムで作られたクレープブラシとワイヤーブラシである。
まず、クレープブラシのメリットはスエードに潜んだホコリ以外にも簡単な汚れなら天然ゴムの成分で取れてしまうという点。
汚れ落としにも活躍する消しゴム、クレープブラシでは軽く全体的にかけてやる効果がありちょっと擦れて出来た汚れはなんなく取れてしまう。
普段の手入れではまずこれだけでOKとも言えるアイテムだ。
クレープブラシも色々なシューケアブランドのモノもあるし靴のブランドのモノもあるが私は2000円程度のサフィールのモノを使っている。
オススメ!!というほど色々なクレープブラシを使っている訳ではないが今はコチラで満足している。
ワイヤーブラシの使い所
そこまで出番が有る訳では無いがワイヤーブラシは起毛がヘタってきたな・・って時にかけてやる。
クレーブブラシより起毛の立ち上がりには効果が有る。
最後に紹介する栄養ミストとの併用でかなりヘタっていたスエードを復活させた事もあるので古くなり手入れのされていなかったスエード用品にはワイヤーブラシを当てたいところ。
スエードの汚れ落とし
ここは色々と意見のわかれるところかもしれない。
クリーナーや消しゴムで汚れた所だけを落とすという人もいるだろう。
ただそれでは落ちきらない汚れだってあるし、その部分だけが色も落ちてしまうなんて事も十分にありえる。
私の場合は消しゴムで落ちる汚れはクレープブラシでほぼ落ちているはずなのでどうせならと水洗いしている。
水洗いはどうしても最初は躊躇する人もいるだろう。
しかし私は今まで洗ったスエード全てに問題は起こっていない(のちのケアをしっかりしているしね)
という訳で簡単にスエードを水で洗う方法紹介しよう。
私は風呂に入る際についでに行うくらいなので本当に大層な事ではないので是非お試しあれ。(一応は自己責任でおねがいするけど・・)
ちなみに日本の水道水はほとんど心配いらないが、使用する水は必ず軟水で行うこと。
硬水を使用した場合は洗剤が残りやすかったりゴワつきの原因となってしまう。
まず用意するもの
- バケツ(洗面器)
- タオル数枚
- スエード用シャンプー(スエード専用)
- スポンジ
- ブラシ(歯ブラシ等でも代用可能)
普通のサドルソープなどの場合は毛がねてしまったりする場合があるのでスエード用シャンプーはかならず用意した方がいいだろう。
ブラシはスエード用ではないが、靴洗いの専用の[M.MOWBRAY] M.モゥブレィ クリーニングブラシ/革靴の丸洗いに使用するブラシがあるので、そちらを利用している。
歯ブラシでも代用可能だが手間はかかるので専用品はやはり便利。
他にも探せばダイソーに代用出来そうなモノもあると思う。
スエードの水洗いの手順
- バケツ等に水をはる。
- 靴の内部に水が入らないようにタオルを詰め込む
- 水に浸したタオルで靴の表面をまんべんなくぬらしてやる
- スポンジにシャンプーを泡立て、靴に付けてやる(間違っても靴に直接シャンプーをかけないように!)
- 靴に着いた泡をブラシでゴシゴシする。
- 再び水に浸したタオルでキレイにシャンプーの成分を落とす
- キレイにシャンプーの成分を落としたら乾いたタオルで出来るだけ水分をとってやる
- 靴の形を整える(タオル、新聞紙、シューキーパーの使用推奨)
- 風通しの良いところで陰干しへ・・
特に個人的に一番気を付けているのは6番のシャンプーの成分を落とす部分と8番の形を整える部分。
シャンプーの成分が残るのはやはり色ムラの原因にもなるし。水分を含んだ革は放って置くとおかしな癖がついてしまいやすいので気をつけてほしい。
で、靴の乾燥が終わったら次に説明する栄養補給は必ず行う事。
スエードの油分や栄養補給について
生体であった皮は内側より行われていた栄養などの循環が革になった途端それが途絶える。
すなわち革は外部より栄養補給をしてその品質を保たねばならない。
一般的なスムースレザーの場合はクリームで、それを行う。
が、スエードの場合は特有の起毛によりクリームを使う事は出来ない。
そこで栄養ミストという専用のミストを使う。
使いようによっては駄目になったと思ったスエードを復活させる効果もあり絶対に一本は持っておく事をオススメしたい。
ミストの使い方
使い方は基本的に防水スプレーと一緒。
ブラッシングでしっかりと毛を立たした後に全体的に均一にミストをかけてやる。
使用上で注意したいのはミストした後の乾燥途中にはブラッシングをしない事。
理由はミストの成分のせいか、カチカチに固まる事があり固まった部分に妙なテカリが生じる為。
ブラッシングをするのなら必ず乾燥を確かめてから行うように。
また、コチラの場合は防水スプレーと違い革に浸透させるのが目的。
一応は変色の恐れもあるかもしれないので初めて使用する場合は目立たないところで少量を試すのが懸命だろう。
あとコチラは防水スプレーと違ってインソールに付着してしまっても私は気にしていない。
豆知識として、かかった部分の滑りが良くなるので私はライニング(内側のカカトの後ろ部分)に少しだけ意図的につけてやって靴を履きやすくしてやる。
使用頻度としては、私の場合は、水洗いした後と、何となく気になった時(3ヶ月に一回くらい?)使っている。
もちろん、その場合は防水スプレーをかける前に行っている。
まとめ
スエード製品は靴はもちろんバッグに財布と小物一式色々なモノがある。
思えば手入れ知らずの若い頃の私はスエードもボロボロになるまで使っていたが手入れさえしていたらもっと長持ちしたものあったかもしれない。
ケア用品を出し惜しんで、スエード製品を駄目にしていくのとケアして長持ちさせるのでは断然ケアをして大切にした方がコスパが良いし愛着も湧いていくだろう。
もし、あなたもお気に入りのスエード製品があるのならケアして末永く使い続ける事をオススメする。